工種別KY例文

型枠 KY 例文集
組立・解体の危険要因と対策

2026年9月2日  |  読了目安 約13分  |  対象:型枠大工・職長・現場監督・元方安全衛生管理者

型枠の組立解体は、建設業の中でも重篤災害が発生しやすい工種だ。墜落・転落、飛来落下、挟まれ、釘の踏み抜き、剥離時の崩落――いずれも一瞬の判断ミスが致命傷につながる。型枠工事の現場で行う KY(危険予知)活動は、その日の作業手順を読み合わせる単なる儀式ではなく、命を守る最後の砦となる。

本記事は型枠大工・職長・現場監督・元方安全衛生管理者を対象に、型枠工事 KY の例文を組立10例・解体7例で網羅した実務集だ。各 KY 項目について「危険要因→対策→KYT 結果(行動目標)」の3点セットで示し、当日の作業前ミーティングでそのまま読み合わせできる形にした。労災ゼロ・不適合ゼロの現場を目指す型枠工事の足元から、KY 活動の質を上げていく。

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目次
  1. 型枠工事の KY が他工種より重い理由
  2. 型枠組立 KY 例文(10項目)
  3. 型枠解体 KY 例文(7項目)
  4. 写真添付と現場での読み合わせのコツ
  5. AI による KY 自動生成と Premium 機能
  6. よくある質問

型枠工事の KY が他工種より重い理由

型枠工事は、建設業の死傷災害統計で常に上位に位置する工種だ。厚生労働省「死亡災害発生状況」を分析すると、型枠大工の災害は「組立中の墜落・転落」「解体中の倒壊・崩落」「剥離時の飛来落下」「サポート転倒による挟まれ」の4類型に大別される。型枠の組立は仮設構造物そのものを高所で組み立てる作業、解体は荷重を抜く順序を1つ誤れば崩落する作業――いずれも作業員自身が「壊れやすい構造物の上で・中で」働く特殊性を持つ。

型枠 KY が品質と安全の両面に効く

型枠工事の KY 活動は、安全だけでなく品質にも直結する。サポートの建てこみ精度、セパレーターの締め込みトルク、コンクリート打設前の墨出し確認――これらは「不適合ゼロ」を実現するための品質チェックでもある。KY 活動表に「危険要因」だけでなく「品質確認ポイント」を1行加えることで、KY が品質朝礼の役割も兼ねるようになり、現場の二度手間を減らせる。

型枠 KY の3要素
型枠工事の KY 活動表は次の3要素を網羅すべきだ。
危険要因:墜落・飛来落下・挟まれ・倒壊・釘の踏み抜きなど物理的リスク
対策:装備・手順・合図・配置の具体的な手当
KYT 結果(行動目標):今日の作業中に全員が守る1行のスローガン

1日2回の KY が型枠の標準

型枠工事の現場では、朝礼後の KY 活動だけでは不十分なケースが多い。午前作業と午後作業で作業内容が大きく変わる(午前:建てこみ、午後:コンクリ打設立会など)場合、昼礼での2回目 KY を運用に組み込むのが標準的だ。本記事の例文は、1回目(朝礼後)と2回目(昼礼)の両方で使い回せる粒度で構成している。

型枠組立 KY 例文(10項目)

型枠の組立工程で発生しやすい災害を、作業段階順に10項目に分けて KY 例文として整理した。各項目は職長が朝礼後の KY 活動でそのまま読み上げ、作業員から追加の危険要因を引き出せる形にしている。

① スラブ型枠材の地上揚重・運搬

危険要因玉掛けワイヤーの掛け違いで合板が落下、運搬車のフォーク先端が作業員の足に接触
対策玉掛け資格者が荷姿を確認し2点吊りを徹底、フォーク作業半径3m 以内は立入禁止区画を設定
KYT 結果「2点吊り確認!立入禁止区画 OK!ヨシ!」を玉掛者と運搬車運転手が指差呼称

② パイプサポートの建てこみ

危険要因サポートピンの差し忘れによる急沈、地面の不陸でサポートが転倒し作業員に挟まれ
対策建てこみ後にピン差込を職長が全数確認、足元には敷板を入れ不陸調整を完了させてから次工程へ
KYT 結果「ピン差込全数 OK!敷板入れ ヨシ!」を職長が指差呼称し記録写真を残す

③ 大引き・根太の上での歩行・移動

危険要因根太の隙間に足を踏み外して下階へ墜落、合板未敷きの開口部からの転落
対策合板を1枚ずつ敷きながら前進、開口部は赤白テープで明示しフルハーネス2丁掛けで作業
KYT 結果「足元確認!フルハーネス掛け替え ヨシ!」を移動の都度声出し

④ セパレーター・フォームタイ取り付け

危険要因セパレーター先端で手を切創、フォームタイ締め込み時の工具落下による下階への飛来
対策耐切創手袋を着用、工具はストラップで身体にフックし、下階作業との同時施工を避ける
KYT 結果「手袋・工具ストラップ ヨシ!下階作業者ゼロ確認!」を職長が確認

⑤ 壁型枠の建てこみとパネル運搬

危険要因壁パネルの倒れこみで作業員が下敷きに、突風によるパネル飛来
対策仮控えを最低2本/枚入れ、風速10m/秒以上で作業中止基準を発動、控え材撤去は本締め完了後
KYT 結果「仮控え2本 ヨシ!風速計確認 ヨシ!」を建てこみ前に唱和

⑥ 高所での桟木打ち・釘打ち

危険要因金槌の手元滑りで下階作業員へ落下、釘の跳ね返りによる眼の負傷
対策金槌はストラップで身体にフック、保護メガネ常時着用、下階に「上部作業中」の表示と立入禁止区画
KYT 結果「ストラップ・保護メガネ・立入禁止 ヨシ!」を職長が3点指差確認

⑦ コンクリート打設立会と振動機作業

危険要因打設圧で型枠がはらみ崩壊、振動機ホースの跳ね返りで作業員が打撲、打設ホースの落下
対策打設高さは1層50cm 以内、はらみ監視員1名を常駐配置、振動機は2名1組で操作
KYT 結果「打設高さ管理!はらみ監視員 ヨシ!」を打設前ミーティングで唱和

⑧ 打設待機中の足場上動線確保

危険要因打設ホース・電源コードの躓きによる転倒、生コン跳ねによる皮膚炎
対策ホース・コードは床から30cm 上に吊り上げ通路を確保、長袖・防護メガネ・耐アルカリ手袋を着用
KYT 結果「通路確保!防護装備 ヨシ!」を打設立会者全員で指差呼称

⑨ 階段・スラブ開口部の墜落防止措置

危険要因開口部養生板の踏み抜き、手すり未設置箇所からの墜落
対策養生板は12mm 合板以上を二重張り、開口部周囲に高さ85cm 以上の手すりと中桟を設置、夜間反射テープ追加
KYT 結果「養生板二重・手すり85cm ヨシ!」を職長が朝の巡視で確認

⑩ 打設後の硬化前養生と立入管理

危険要因硬化前のスラブへの誤侵入で陥没、養生シートの強風による飛散
対策打設後24時間は「養生中・立入禁止」の表示と入口閉鎖、養生シートは1m 間隔で重しを置く
KYT 結果「立入禁止表示 ヨシ!養生シート重し ヨシ!」を打設終了時に確認

型枠解体 KY 例文(7項目)

型枠の解体工程は、組立より災害発生率が高いとも言われる。荷重バランスを崩した瞬間に崩落につながるため、解体順序の KY は組立以上に丁寧に行う必要がある。代表的な7項目を例文として示す。

① 解体前のコンクリート強度確認

危険要因強度不足で剥離時にスラブが崩落、サポート抜きで自重崩壊
対策所定強度(一般的にスラブ12N/mm²、梁底14N/mm² 以上)を試験成績書で確認、設計図書で養生期間を確認
KYT 結果「強度試験成績 ヨシ!養生期間クリア ヨシ!」を解体班長が解体着手前に確認

② サポート撤去順序の遵守

危険要因中央から外側へ抜くなど誤順序でスラブが垂れ下がり崩落、サポート跳ね返りによる打撲
対策外周→内側、または設計図書指定の順序を厳守、サポート1本ずつゆっくり下げ抜き、跳ね返り防止に補助員を配置
KYT 結果「撤去順序図確認 ヨシ!補助員配置 ヨシ!」を職長が解体図を指差呼称

③ 壁型枠の剥離・落下防止

危険要因剥離時に壁パネルが急に外れて作業員に倒れ込む、剥離材片が下階作業員へ飛来
対策剥離は2名1組でロープ控えながら作業、下階は「解体中・立入禁止」の区画を10m 以上設定
KYT 結果「2名1組ロープ控え ヨシ!下階立入禁止 ヨシ!」を剥離開始前に唱和

④ 釘の引き抜きと木材整理

危険要因釘付き合板を放置して作業員が踏み抜き、釘抜き作業中のバール跳ね返り
対策剥離直後に釘抜きを完了させ釘箱へ収納、釘抜きはバール先端を体側に向けず作業、安全靴の踏み抜き防止インソール着用
KYT 結果「釘抜き完了→釘箱収納 ヨシ!踏み抜き防止インソール ヨシ!」を解体班長が確認

⑤ 解体材の運搬通路確保

危険要因運搬通路上の散乱資材で躓き転倒、運搬経路上で他職と接触
対策解体エリアから資材置き場までの通路を幅80cm 以上確保、運搬時間帯を他職と調整、長尺材は2名運搬
KYT 結果「通路幅80cm 確保 ヨシ!他職調整完了 ヨシ!」を運搬開始前に確認

⑥ 高所からの解体材の降ろし

危険要因解体材の投下による下階作業員への飛来、シューターからの跳ね出し
対策解体材投下は厳禁、専用シューターまたはバケットで降ろし、下階に監視員1名を配置、シューター出口に飛散防止柵
KYT 結果「シューター使用・投下厳禁 ヨシ!下階監視員 ヨシ!」を職長が高所側で唱和

⑦ 解体材の集積・分別と整理整頓

危険要因集積場所の崩れによる挟まれ、釘付き合板の混入による後工程の踏み抜き
対策集積高さは1.5m 以下、合板・桟木・サポート別に分別、釘付き合板は赤テープ表示で隔離
KYT 結果「集積1.5m 以下・分別 ヨシ!釘付き隔離 ヨシ!」を解体終了時に確認
解体は「順序を1つ抜かす」が致命傷
型枠解体の死亡災害事例には、「サポートを早く抜きすぎた」「強度確認をしないまま剥離した」「他職の作業時間と重なった」といった、順序や時間調整の小さな省略から重大災害につながったケースが多い。KY 活動表に「順序確認・時間調整・強度確認」を毎回必ず入れる運用を徹底することが、解体労災ゼロへの近道だ。

写真添付と現場での読み合わせのコツ

型枠 KY は文字だけでは現場の作業員に伝わりにくい。サポートの建てこみ角度、セパレーターの締め込み状態、解体順序――これらは写真や図面と組み合わせて初めて、新人作業員にも理解される。KY 活動表の運用品質を上げる3つのコツを示す。

コツ①:前日の作業終了時の写真を1枚添付する

翌日の朝礼 KY で使う写真は、前日の作業終了時に撮影した現場写真がもっとも効く。「昨日この状態で終わったので、今日はここから始める」という具体性が、口頭説明では出せない理解度を生む。スマートフォン1台あれば撮影できるため、職長が日々の習慣として2〜3枚撮る運用を組み込む。

コツ②:危険ポイントに赤丸を入れた図を貼る

サポート撤去順序や開口部の位置など、図面で示すべき情報は KY 活動表の裏面に貼る。元図面のコピーに赤丸・赤矢印で危険ポイントを書き込み、朝礼で「ここ」と指差しながら説明する。文字情報の3倍の伝達効率がある。

コツ③:作業員2名から発言を引き出す

KY 活動が形骸化する最大の原因は「職長が読み上げて終わり」になることだ。職長が読み上げた後、必ず「何か追加で気づいた危険ポイントはあるか」と作業員2名以上に発言を求める。新人作業員からの発言は、ベテランが「当たり前」と見落としているリスクを拾える貴重な情報源となる。

5分 KY の標準フロー
① 職長が本日の作業概要と KY 活動表を読み上げ(1分)
② 写真・図面を見せながら危険ポイントを指差呼称(1分)
③ 作業員2名から追加危険ポイントを発言してもらう(2分)
④ 全員で KYT 結果を唱和し、KY 活動表に署名(1分)
この5分フローを毎日同じ手順で繰り返すことで、新人にも自然に定着する。
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AnzenAI なら型枠の組立・解体・打設立会など、その日の作業内容を入力するだけで KY 活動表が AI で自動生成されます。職長の起案時間が10分→1分に短縮できます。

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AI による KY 自動生成と Premium 機能

型枠工事の現場では、職長が毎朝 KY 活動表を起案する負担が大きい。組立・解体・打設立会など作業内容が日々変わり、その日の階高・スパン・天候を反映した KY を毎回手書きするのは現実的でない。AI による KY 自動生成は、この負担を大幅に軽減する。

AnzenAI の KY 自動生成

AnzenAI は、作業内容・階高・スパン・天候・人員構成を入力するだけで、型枠工事の KY 活動表を自動生成する。組立10例・解体7例の標準ベースをデータベース化しており、当日の作業条件に合わせて関連性の高い危険要因と対策を抽出する。職長は出力された KY 活動表を確認し、現場固有の条件を1〜2行追記するだけで、5分の KY 活動の準備が完了する。

Premium 機能として開発予定の拡張

Premium 機能として、過去の KY 活動表とヒヤリハット記録を AI が学習し、当現場で発生しやすい危険要因を優先表示する機能を開発予定だ。さらに、写真添付の自動生成(前日の作業状況をスマートフォンで撮影→AI が危険ポイントに赤丸を入れた KY 図を出力)も計画している。型枠工事の現場で「KY 活動表の準備に時間がかかる」「形骸化を防げない」という課題を、AI で構造的に解決する。

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型枠工事の組立・解体・打設立会の KY 活動表を、当現場の条件に合わせて AI が自動生成。職長の負担を大幅に減らし、KY 活動の質を高めます。労災ゼロ・不適合ゼロを目指す現場の標準ツールとして導入できます。

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よくある質問

型枠 KY は1日何回行うのが標準ですか?

朝礼後の1回が最低限ですが、午前と午後で作業内容が変わる現場(打設立会・剥離など)では昼礼での2回目 KY が標準的です。型枠工事は工程の前後で危険要因が大きく変わるため、作業切替時に必ず KY を再実施する運用が労災防止に効きます。

型枠解体の強度確認は具体的にどの基準を使えばよいですか?

一般的にはスラブ12N/mm²、梁底14N/mm² 以上が目安ですが、設計図書・工事仕様書に明記された値を最優先で確認します。コンクリート工事標準仕様書(JASS5)や建築工事監理指針も参考になります。試験成績書と現場の養生温度記録を必ず突き合わせて、強度発現を確認してから解体に着手します。

KY 活動表に写真を添付する運用は法令で必須ですか?

法令上の必須要件ではありませんが、労働安全衛生法に基づく事業者の安全配慮義務と建災防の運用指針からは、写真や図面を活用した KY の質的向上が推奨されています。型枠工事のように複雑な作業では、写真添付が新人作業員の理解度を大幅に上げ、結果として労災防止に直結します。

KY 活動の発言を作業員から引き出すコツはありますか?

職長が「何か危険ポイントはあるか」と漠然と聞くのではなく、「今日のこの作業で、ベテランから見て一番危ないところはどこか」「新人から見て分かりにくい点はあるか」と具体的に質問するのが効果的です。発言した内容を職長が KY 活動表に書き加える運用にすると、発言が習慣化していきます。

小規模な型枠工事でも KY 例文集は使えますか?

使えます。むしろ少人数の現場ほど KY が形骸化しやすく、例文集を起点にすることで質を担保しやすくなります。本記事の17項目から当日の作業に関係する3〜5項目だけを抜粋して読み合わせる運用で十分機能します。書類の物量は規模に応じて調整して構いません。

まとめ:型枠 KY 活動を質的に引き上げる

型枠工事の KY 活動は、書類のチェックボックスを埋める作業ではなく、その日働く全員が命を守るために5分間集中する儀式だ。本記事の17例文を当現場の標準ベースとして使い、写真・図面・作業員発言を組み合わせることで、KY 活動の質は明確に変わる。労災ゼロ・不適合ゼロの型枠工事を目指す現場の足元から、まず明日の朝礼 KY を1段引き上げることから始めてほしい。

参考情報
國分 良太

著者

國分 良太

制御設計エンジニア → AI・IoT・DX推進|AIコンサルタント|東京の製造業メーカー開発部門

製造業の現場で設備設計・改善プロジェクト・品質向上施策に従事。なぜなぜ分析(RCA)やリスクアセスメントの実務経験をもとに、現場DXを支援するアプリケーションの開発と情報発信に取り組んでいます。AIコンサルタントとして、企業のAI・生成AI活用や現場DX導入の支援も行っています。

詳しいプロフィール →  ・  LinkedInXnote

※ 本サイトは所属企業とは関係のない個人活動です。記載の見解は筆者個人のものです。

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